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Pythonポインタの使い方

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Pythonポインター:ポイントは何ですか?

目次

  • Pythonにおけるポインターの理由
  • Pythonのオブジェクト
  • イミュータブル(変更不可能)オブジェクトとミュータブル(変更可能)オブジェクト
  • 変数の理解
    • C言語における変数
    • Pythonにおける名前
    • Pythonにおけるインターン(内部)オブジェクトに関する注意事項
  • Pythonでのポインターのシミュレーション
    • ミュータブルな型をポインターとして使用する方法
    • Pythonオブジェクトを使用する方法
  • ctypesを使用した本物のポインター
  • 結論

Pythonにおけるポインターの理由

ポインターは、CやC++などの低レベル言語で広く使用されています。ポインターは、別の変数のメモリアドレスを保持する変数です。ポインターについての復習をする場合は、このCポインターの概要を参照してください。

この記事では、Pythonのオブジェクトモデルを理解し、なぜPythonにはポインターが存在しないのかを学びます。ポインターの振る舞いを模倣する必要がある場合には、メモリ管理の問題を避けるためのPythonでのポインターのシミュレーション方法について学びます。

この記事では以下の内容を学びます。

  • Pythonにおいてポインターが存在しない理由
  • Cの変数とPythonの名前の違いについて理解する
  • Pythonでポインターのシミュレーションを行う
  • ctypesを使用して本物のポインターを試す

Pythonにおけるポインターはなぜ存在しないのか?

Pythonは、一般的にユーザーからメモリアドレスなどの実装の詳細を抽象化しようとします。Pythonは速度よりも使いやすさに焦点を当てることが多いです。その結果、Pythonにおいてポインターは実際的ではありません。しかし、Pythonはデフォルトでいくつかのポインターの利点を提供しています。

Pythonでのポインターの理解には、Pythonの実装の詳細についての短い紹介が必要です。具体的には、次のことを理解する必要があります。

  1. イミュータブルなオブジェクトとミュータブルなオブジェクト
  2. Pythonの変数/名前

メモリアドレスを手に入れて始めましょう。

Pythonのオブジェクト

Pythonでは、すべてがオブジェクトです。証拠として、isinstance()を使用してREPLを開いて探索できます。

Python

>>> isinstance(1, object)
True
>>> isinstance(list(), object)
True
>>> isinstance(True, object)
True
>>> def foo():
... pass
...
>>> isinstance(foo, object)
True

このコードからわかるように、Pythonではすべての整数やリスト、真偽値、関数などがオブジェクトとして扱われます。この記事では、オブジェクトを使用してポインターのシミュレーションを行います。

イミュータブルなオブジェクトは変更不可能なオブジェクトであり、ミュータブルなオブジェクトは変更可能なオブジェクトです。変数はオブジェクトを参照するものであり、名前は変数に関連付けられたものです。Pythonのオブジェクトへの参照は変数を介して行われます。

例えば、変数xに対して数値3を代入すると、変数xは数値オブジェクト3を参照します。

Python

x = 3

この場合、変数xはオブジェクト3へのポインターであり、そのアドレスを保持しています。しかし、Pythonの変数は実際には名前であるため、この例ではポインターは直接操作することはできません。

次のセクションで、C言語における変数とPythonにおける名前の違いについて詳しく見ていきましょう。

変数の理解

C言語における変数

C言語では、変数はメモリ上の位置を表すメモリアドレスと関連付けられています。変数はそのアドレスを通じてメモリ上の値を参照または変更することができます。たとえば、次のCプログラムでは、変数xに対して数値3が代入されます。

C

int x = 3;

この場合、xは変数であり、メモリ上のアドレスを持つ整数オブジェクトを参照しています。

メモリ上のオブジェクトを指すCのポインターは、アドレス演算子&を使用して取得することができます。

C

int x = 3;
int *p = &x;

このコードでは、変数xのアドレスを取得し、pというポインター変数に代入しています。

Pythonにおける名前

一方、Pythonでは変数は実際には名前のことを指します。変数はオブジェクトを参照し、オブジェクトはメモリ上の位置に格納されています。

例えば、次の例では、変数xyは同じ整数オブジェクトを参照しています。

Python

x = 3
y = 3

この場合、変数xyは同じオブジェクトを指していますが、それぞれがオブジェクトのための別々の名前であり、異なるメモリアドレスを持っているかもしれません。これはPythonの変数の動作の重要な側面です。名前はオブジェクトを参照するものであるため、名前だけでオブジェクトのメモリアドレスを直接操作することはできません。

Pythonにおいて、変数はオブジェクトを参照するものであり、名前はその変数に関連付けられたものです。ポインターとは異なり、Pythonの変数はオブジェクトそのものを保持しているわけではなく、オブジェクトへの参照を保持していると言えます。

オブジェクトへの参照に関しては、次節でさらに詳しく見ていきましょう。

Pythonにおけるインターン(内部)オブジェクトに関する注意事項

Pythonのいくつかのオブジェクトはインターン(内部)オブジェクトと呼ばれ、このオブジェクトはメモリ上で特別な扱いを受けます。インターンオブジェクトは、小さい範囲の整数や短い文字列などのような特定のオブジェクトであり、Pythonのメモリ最適化の一環として使用されます。

例えば、数値のオブジェクトについて考えてみましょう。Pythonは、よく使用される範囲の整数オブジェクト(通常-5から256までの整数)を事前に作成し、これらのオブジェクトを再利用します。これにより、同じ値を持つ整数オブジェクトを作成するたびに新しいオブジェクトを作成する必要がありません。

具体的な例を見てみましょう。

Python

x = 10
y = 10

この場合、xyは同じ整数オブジェクトを参照しています。なぜなら、整数10はインターンオブジェクトであり、10という値を持つ整数オブジェクトはプログラム内で一度作成され、再利用されるためです。

インターンオブジェクトにより、Pythonは少ないメモリを使用して整数などの小さなオブジェクトを効率的に扱うことができます。しかし、これらのオブジェクトをポインターとして直接操作することはできません。

次のセクションでは、Pythonでポインターをシミュレートする方法について見ていきます。

Pythonでのポインターのシミュレーション

Pythonにはポインターが存在しないため、ポインターの動作をシミュレートする必要がある場合には、いくつかの方法を使用する必要があります。以下では、Pythonでのポインターのシミュレーション方法について説明します。

ミュータブルな型をポインターとして使用する方法

Pythonのミュータブルな型(例:リストや辞書)を使用することによって、ポインターのような動作をエミュレートすることができます。ミュータブルな型は変更可能なオブジェクトであり、変数はオブジェクト自体ではなく、オブジェクトへの参照を保持しているため、これを利用してポインターのような動作を実現することができます。

具体的な例を見てみましょう。

Python

x = [1, 2, 3]
y = x
y.append(4)
print(x) # Output: [1, 2, 3, 4]

この例では、リストオブジェクトxを作成し、変数yxを代入しています。その後、yに対してappend()メソッドを使用して要素を追加します。xを出力すると、append()メソッドによってxの要素も更新されていることがわかります。これは、xyが同じリストオブジェクトを参照しているためです。

この例では、リストオブジェクトをポインターとして使用してエミュレートしています。ただし、これはPythonのミュータブルなオブジェクトに限られた方法であり、すべてのオブジェクトに適用することができるわけではありません。

Pythonオブジェクトを使用する方法

ポインターのような動作を実現するもう1つの方法は、Pythonのctypesモジュールを使用することです。ctypesモジュールは、C言語の関数や変数をPythonから呼び出すためのインターフェースを提供します。

この方法を使うと、PythonからCのポインターを使用した操作を行うことができます。具体的な例として、ctypesモジュールとPOINTER()関数を使用して、整数のポインターを作成し、ポインターを通じてメモリの値を参照または変更する方法を見てみましょう。

Python

from ctypes import POINTER, c_int
x = c_int(10)
p = POINTER(c_int)(x)
print(p.contents) # Output: c_long(10)
p.contents = 20
print(x.value) # Output: 20

この例では、ctypesモジュールからPOINTER()関数とc_int型をインポートし、整数オブジェクトxを作成しています。POINTER()関数を使用してxのポインターを作成し、変数pに代入します。pcontents属性を通じてポインターを介してメモリ値を取得または変更することができます。

この方法を使用すると、Pythonから低レベルのCコードを扱うことができますが、PythonコードとCコードを組み合わせる必要があるため、理解が必要です。また、注意が必要なセキュリティ上のリスクが存在するため、慎重に使用する必要があります。

結論

Pythonにはポインターが存在しないため、ポインターの振る舞いをエミュレートする必要がある場合には、ミュータブルなオブジェクトを変数として使用する方法やctypesモジュールを使用する方法があります。ただし、これらの方法はオブジェクト指向の特性やPythonの特徴に合わせて設計されているものであり、ポインターを完全に再現するものではありません。

Pythonはメモリ管理などの実装の詳細を抽象化することで、プログラマーにとって使いやすい環境を提供しています。ポインターを必要とするような高度なメモリ操作は、Pythonの哲学とは異なるため、Pythonはメモリアドレスなどの詳細を意識することなく開発を進めることができます。

ポインターの理解は、Pythonの内部の概念についての理解を深めるのに役立ちますが、一般的なPythonの開発において直接的に必要となることはほとんどありません。

以上が、Pythonにおけるポインターの概要です。ポインターのないPythonでの開発において、これらの概念を理解することは、Pythonのオブジェクト指向の特性やメモリ管理について深く理解する上で役立つでしょう。