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デフォルトディクトの使用方法を簡単に説明

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Pythonのdefaultdict型を使って、存在しないキーを処理する

Pythonのディクショナリを扱う際に、存在しないキーにアクセスしたり、変更しようとすると、KeyErrorが発生し、コードの実行が中断されることがあります。このような状況を扱うために、Pythonの標準ライブラリであるcollectionsモジュールのdefaultdict型が提供されています。

Pythonのdefaultdict型は、通常のディクショナリとほぼ同じように振る舞いますが、存在しないキーにアクセスしたり変更しようとすると、defaultdictは自動的にそのキーを作成し、デフォルト値を生成します。これにより、defaultdictはディクショナリ内の存在しないキーを処理するための有用なオプションとなります。

このチュートリアルでは、以下の内容を学びます。

  • ディクショナリ内の存在しないキーを処理するためにPythonのdefaultdict型を使用する方法
  • 通常のdictではなく、Pythonのdefaultdictを使用する理由とタイミング
  • defaultdictを使用してグループ化、カウント、値の蓄積を行う方法

これらの知識を手に入れることで、日々のプログラミングの課題で効果的にPythonのdefaultdict型を活用することができるようになるでしょう。

このチュートリアルを最大限に活用するためには、Pythonのディクショナリについての基礎知識があることが望ましいです。必要に応じて以下のリソースを参照してください。

ディクショナリ内の存在しないキーの処理

Pythonのディクショナリを扱う際によくある課題は、存在しないキーを処理する方法です。もしコードがディクショナリに頼りすぎている場合や、ディクショナリを頻繁に動的に作成する場合は、頻繁に発生するKeyError例外に対処することが非常に面倒でコードの複雑性を増大させることがあるでしょう。Pythonのディクショナリでは、少なくとも4つの方法が存在します。

以下はそれぞれの方法についての実装例です。

  1. クラシックなtry-except構文を使用する方法:
my_dict = {"apple": 1, "banana": 2}
try:
print(my_dict["orange"])
except KeyError:
my_dict["orange"] = 3
print(my_dict["orange"]) # 3
  1. dict.get()メソッドを使用する方法:
my_dict = {"apple": 1, "banana": 2}
print(my_dict.get("orange", 3)) # 3
my_dict.setdefault("orange", 3)
print(my_dict["orange"]) # 3
  1. if-elseステートメントを使用する方法:
my_dict = {"apple": 1, "banana": 2}
if "orange" in my_dict:
print(my_dict["orange"])
else:
my_dict["orange"] = 3
print(my_dict["orange"]) # 3
  1. collections.defaultdictを使用する方法:
from collections import defaultdict
my_dict = defaultdict(lambda: 3, {"apple": 1, "banana": 2})
print(my_dict["orange"]) # 3

上記の例では、defaultdict型を使ってディクショナリのキーが存在しない場合にデフォルト値3を設定しています。

これらの方法のうち、defaultdictを使用する方法が最も簡潔で直感的です。存在しないキーのデフォルト値を指定することで、キーが存在しない場合に自動的にデフォルト値が設定されます。

Pythonのdefaultdict型の理解

Pythonのdefaultdict型は、collectionsモジュールで提供される辞書のサブクラスです。通常のディクショナリと非常によく似ていますが、存在しないキーにアクセスすると、defaultdictdefault_factoryに指定された関数を使用してキーを自動的に生成します。default_factoryは、ディクショナリ内の存在しないキーに対して呼び出されます。

以下は、defaultdictの基本的な使い方の一例です。

from collections import defaultdict
my_dict = defaultdict(int)
my_dict["apple"] = 1
my_dict["banana"] = 2
print(my_dict["apple"]) # 1
print(my_dict["banana"]) # 2
print(my_dict["orange"]) # 0

上記の例では、defaultdictを使用してデフォルト値としてint関数を指定しています。これにより、ディクショナリ内の存在しないキーにアクセスすると、自動的にint()コンストラクタが呼び出されて0が返されます。

このように、defaultdictは存在しないキーへのアクセスが発生した場合に、default_factoryが生成するデフォルト値を提供します。

Pythonのdefaultdict型の使用方法

Pythonのdefaultdict型は、存在しないキーを処理するための様々な方法で使用することができます。以下に具体的な利用方法を示します。

アイテムのグループ化

ディクショナリ内のアイテムを特定の条件に基づいてグループ化する場合、defaultdictを使用すると非常に便利です。

たとえば、次のようなリストがあるとします。

items = [
{"fruit": "apple", "color": "red"},
{"fruit": "banana", "color": "yellow"},
{"fruit": "orange", "color": "orange"},
{"fruit": "apple", "color": "green"},
{"fruit": "banana", "color": "green"}
]

これをfruitキーでグループ化するために、以下のようにdefaultdictを使用することができます。

from collections import defaultdict
fruit_groups = defaultdict(list)
for item in items:
fruit = item["fruit"]
fruit_groups[fruit].append(item)
print(fruit_groups)

出力結果は次のようになります。

{
"apple": [
{"fruit": "apple", "color": "red"},
{"fruit": "apple", "color": "green"}
],
"banana": [
{"fruit": "banana", "color": "yellow"},
{"fruit": "banana", "color": "green"}
],
"orange": [
{"fruit": "orange", "color": "orange"}
]
}

defaultdictを使うことにより、fruitキーを持つアイテムをグループ化することができます。

ユニークなアイテムのグループ化

defaultdictを使用してユニークなアイテムのグループ化も行うことができます。

たとえば、次のようなリストがあるとします。

items = [
{"fruit": "apple", "color": "red"},
{"fruit": "banana", "color": "yellow"},
{"fruit": "orange", "color": "orange"},
{"fruit": "apple", "color": "green"},
{"fruit": "banana", "color": "green"}
]

このリストをfruitキーでユニークなアイテムごとにグループ化するためには、以下のようにdefaultdictを使用します。

from collections import defaultdict
unique_fruit_groups = defaultdict(set)
for item in items:
fruit = item["fruit"]
unique_fruit_groups[fruit].add(item)
print(unique_fruit_groups)

出力結果は次のようになります。

{
"apple": {
{"fruit": "apple", "color": "red"},
{"fruit": "apple", "color": "green"}
},
"banana": {
{"fruit": "banana", "color": "yellow"},
{"fruit": "banana", "color": "green"}
},
"orange": {
{"fruit": "orange", "color": "orange"}
}
}

defaultdictを使用してユニークなアイテムをグループ化することで、指定したキーの値を一意に保つことができます。

アイテムのカウント

ディクショナリ内のアイテムの数をカウントするためにも、defaultdictが役立ちます。

たとえば、次のようなリストがあるとします。

fruits = ["apple", "banana", "orange", "apple", "banana"]

これをディクショナリに変換し、各フルーツの出現回数をカウントする場合、以下のようにdefaultdictを使用します。

from collections import defaultdict
fruit_count = defaultdict(int)
for fruit in fruits:
fruit_count[fruit] += 1
print(fruit_count)

出力結果は次のようになります。

{
"apple": 2,
"banana": 2,
"orange": 1
}

defaultdictを使用することで、各フルーツのカウントを簡単に行うことができます。

値の蓄積

ディクショナリ内の値を蓄積する場合にも、defaultdictを使用することができます。

たとえば、次のようなリストがあるとします。

items = [
{"fruit": "apple", "quantity": 2},
{"fruit": "banana", "quantity": 3},
{"fruit": "orange", "quantity": 1},
{"fruit": "apple", "quantity": 4},
{"fruit": "banana", "quantity": 2}
]

これをディクショナリに変換し、各フルーツの数量を蓄積する場合、以下のようにdefaultdictを使用します。

from collections import defaultdict
fruit_quantities = defaultdict(int)
for item in items:
fruit = item["fruit"]
quantity = item["quantity"]
fruit_quantities[fruit] += quantity
print(fruit_quantities)

出力結果は次のようになります。

{
"apple": 6,
"banana": 5,
"orange": 1
}

defaultdictを使用することで、各フルーツの数量を容易に蓄積することができます。

defaultdictとdictの比較

defaultdictと通常のdictを比較すると、以下のような違いがあります。

  • defaultdictは存在しないキーに対して自動的にデフォルト値が生成されますが、通常のdictではKeyError例外が発生します。
  • defaultdictはデフォルト値を指定するためにdefault_factoryというオプション引数を持ちますが、通常のdictではこれを指定することはできません。

どちらを使用するかは、使用するコンテキストや特定の要件に依存します。デフォルト値を指定する必要がある場合や、存在しないキーに対処する必要がある場合は、defaultdictを使用することが推奨されます。

defaultdict.default_factory

default_factoryは、存在しないキーを処理するために自動的に呼び出される関数です。デフォルトでは、default_factoryNoneに設定されています。

default_factoryを指定するには、defaultdictをインスタンス化する際にdefault_factoryの引数に関数を渡します。

たとえば、以下のようなdefault_factory関数を定義して使用することができます。

from collections import defaultdict
def default_value():
return "N/A"
my_dict = defaultdict(default_value)

上記の例では、デフォルト値として"N/A"を返すdefault_value関数をdefault_factoryに指定しています。

defaultdictとdict.setdefault()

defaultdictdict.setdefault()メソッドと同様の挙動をするとも言えますが、異なる点もあります。

例えば、以下のコードを考えてみましょう。

my_dict = {"apple": 1, "banana": 2}
print(my_dict.setdefault("orange", 3)) # 3
print(my_dict["orange"]) # 3

このコードでは、setdefault()メソッドを使用して存在しないキー"orange"のデフォルト値を設定しています。このメソッドを使うことで、キーが存在しない場合にデフォルト値を設定し、そしてその値を返すことができます。

setdefault()メソッドは、通常のディクショナリでこのような操作を行う際に便利ですが、defaultdictではあまり使われることはありません。なぜならば、defaultdictはディクショナリが存在しないキーのためにデフォルト値を自動的に生成するからです。

defaultdict.missing()

Pythonのdefaultdict型には、__missing__()という特殊メソッドもあります。このメソッドは、存在しないキーにアクセスした際の動作をカスタマイズすることができます。

たとえば、以下のようなMyDefaultDictクラスを定義して__missing__()メソッドをオーバーライドして使用することができます。

from collections import defaultdict
class MyDefaultDict(defaultdict):
def __missing__(self, key):
return f"Missing Key: {key}"
my_dict = MyDefaultDict(int)
my_dict["apple"] = 1
print(my_dict["apple"]) # 1
print(my_dict["orange"]) # Missing Key: orange

上記の例では、__missing__()メソッドをオーバーライドして、存在しないキーがアクセスされた際に"Missing Key: {key}"というメッセージを返すようにしています。

__missing__()メソッドを使用することで、default_factoryを指定せずに存在しないキーに対する振る舞いをカスタマイズすることができます。

Pythonのdefaultdict型をエミュレートする

defaultdictに似た動作をするオプションを考える場合、通常のディクショナリとdefaultdictとの組み合わせでこれをエミュレートすることもできます。

たとえば、以下のようなAutoDefaultDictクラスを作成してみましょう。

class AutoDefaultDict(dict):
def __missing__(self, key):
self[key] = self.default_factory()
return self[key]

自動的にデフォルト値を生成するために以下のように使用することができます。

my_dict = AutoDefaultDict()
my_dict.default_factory = lambda: 5
print(my_dict["apple"]) # 5
print(my_dict) # {"apple": 5}

このように、通常のディクショナリを継承したクラスで__missing__()メソッドをオーバーライドすることで、defaultdictに似た動作を実現することができます。

.default_factoryに引数を渡す

.default_factoryに引数を渡す方法はいくつかあります。

lambdaを使用する方法

default_factoryに引数を渡すためにlambdaを使用することができます。

たとえば、デフォルト値にカウンターを持つディクショナリを作成する場合、以下のようにlambdaを使用します。

from collections import defaultdict
my_dict = defaultdict(lambda c=0: c+1)
print(my_dict["apple"]) # 1
print(my_dict["apple"]) # 2
print(my_dict["banana"]) # 1

上記の例では、デフォルト値として0から始まるカウンター関数を使用しています。

functools.partial()を使用する方法

functools.partial()関数を使ってdefault_factoryに引数を渡すこともできます。

たとえば、次のような関数を定義してpartial()関数を使用する方法があります。

from collections import defaultdict
from functools import partial
def count_items(start=0):
return partial(defaultdict, lambda c=start: c+1)
my_dict = count_items()
print(my_dict(defaultdict)(0)) # 1
print(my_dict(defaultdict)(0)) # 2
print(my_dict(defaultdict)(1)) # 1

上記の例では、デフォルト値として指定した回数から始まるカウンターを作成するためにpartial()関数を使用しています。

まとめ

このチュートリアルでは、Pythonのdefaultdict型を使用して存在しないキーを処理する方法について学びました。また、ディクショナリのグループ化、カウント、値の蓄積など、defaultdict型の機能と使い方についても詳しく説明しました。

defaultdictは存在しないキーを処理する際に非常に便利であり、通常のディクショナリに比べて短く、直感的なコードを書くことができます。デフォルト値の生成やキーの処理が必要な場合は、ぜひdefaultdict型を活用してみてください。

以上でPythonのdefaultdict型を使った存在しないキーの処理についての解説を終わります。